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パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



6月初旬のぶどう畑 :: 2020/06/18(Thu)

今年は、ぶどうの生育が良さそうだ。まだまだこれからどうなるのか、もちろん何も保証はないのだが、元気よくツルを上へ上へとのばしている。

この季節のぶどう畑は、ほんとにいい。生きよう、という”気”がみなぎっている。嫌なことも一層できるくらいな力。


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ぶどうの樹は、品種によって、もちろん顔が変わる。それもかなり大きな差が。わかりやすいのは、葉の形。そして果実のつき方。


この時期は、花が終わり、実がその姿を露わにするとき。


これは、スキオッペッティーノ。


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縦長の大きな房。実のつき方もお互いが離れてバラバラな感じで、この扱いのしずらい聞かん坊なスキオッペッティーノの性格がこれだけでも表されているみたいだ。


そして、トカーイ・フリウラーノ。


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「トカーイ」とはもう呼んではいけなくて、一般的には「フリウラーノ」だが、この地でそんな呼び方をする人を見たことがない。

房の形は、これがお手本!みたいな上方両脇に耳のついたような形。イタリア語では、これは”翼”と表現する。


レフォスコ・ダル・ペドゥンコロ・ロッソ。


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ペドゥンコロとは、茎の部分を指す。ここが赤いから、この名前がついている。もうこの時点で他と品格の差を見せつけているような、そんな気品がある。


そして、ピノ・グリジョ。


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この品種は非常にコンパクトに実をつける。早熟な品種でもあるので、見るからに他に比べて実のつきがよい。当然のごとく収穫も大抵は、このピノ・グリジョからスタートする。


ぶどう自体と同じくらいいつも目を奪われるのが、これ。ヴィティッチと呼ばれる部分。


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上方に伸びる性質のぶどうは、何かに頼っていかなければ立ち上がれないので、介在を探す。そこに細い新茎をぐるぐると巻きつけて立ち上っていく。

これがものすごい力の持ち主。これがあるから、こんなにワッサワッサと成長する樹を支えていける。


ぶどうの収穫が終わり、葉を落としてもなお、このヴィティッチはしつこくも巻き付いたまま。冬の剪定時にも、1シーズンを終えて枯れているかと思いきや、最後の残された力でこれをはずすのに、結構な力を入れる必要があるくらい。


静かに、必死に、そしてひたむき。


そして、その先のオリーブ畑。


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オリーブの樹はまたこれが神秘的。樹と樹の間に身を置くのが好き。


多くの花をつけはしたが、実は今のところ思ったよりも少なめ。これから夏に向けてグググン…と実を膨らませてくれるのかな。楽しみ。


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ここからいろいろなことを教えてもらっている。



「イタリア好き通信」

に同様の内容を投稿しています。↓こちらより

http://italiazuki.com/2020/06/21/フリウリのぶどう、土着品種-〜初夏の畑より〜/






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アスパラとピゼッリと…じいちゃん :: 2020/05/22(Fri)

もう何年になるんだろうか、いつもお世話になっている農家がある。専門はラディッキオとアスパラで、共に現地呼称であるIGP認証をとった生産物だ。地域活性の為にも、品種保存のためにも、そして食文化継承のためにも、土地ならではの生産物を守っていくことは広範囲な意義を持つことだ。


今週、ようやく州内の移動は問題なくなり、早速アスパラの様子を見たい、と出かけていった。が、なんと、アスパラの収穫は終了したばかり。

3月の初旬〜中旬にかけての移動制限で動けなくなったのが、ラディッキオの終盤とアスパラの始まりの時期だった。だから私には、ちょうどアスパラのシーズンがまるごとぬけてしまった。


この日の早朝に、白アスパラの畑を日光避けのために覆う黒いにビニールシートを外したところだった。


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ちょうど土の山のようになっているところが、長いラインのようにシートが被されているところだ。


この時期の仕事は、寒い冬の終了後、2ヶ月ほどですっかり育ってしまった雑草を掘り起こして、畝となった盛り上がった土を平らにならすこと。


しばらくすると土中のアスパラの根からまたニョキニョキと茎が伸びてきて林のようになる。そのまま次のシーズンまで放置しておくのだ。


アスパラのシーズンをすっかりと飛び越してしまった。そんなことにびっくりしながら、改めてシーズンの短いアスパラの貴重さを感じた。


今年は、アスパラの季節がちょうどロックダウンの時期に重なり、レストランが全て閉鎖となった。多くの顧客が飲食店のため、本当に厳しい状況に立たされたシーズンだった。おまけに現場で働く人材不足もある。

自然の産物は、世間の状況などには関係なくその食べごろを迎えてしまう。


そして、春の農産物の旬は移行し、今はピゼッリ(グリンピース)の最盛期。もうしばらく先のものだと思っていたのに、今がちょうど今が採り時だ。


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畑から収穫しながらサヤを割って中身を食べる…新鮮な甘い美味しさ。


帰宅して持ち帰ったアスパラは、


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生で、


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茹でて、


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そしてグリルして、


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…とこの時期だけの美味しさを味わう。


やはり大量に持ち帰ったピゼッリは、サヤをはずして冷凍保存した。


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こんなふうに年間を通して貴重な農産物を扱う彼らは、家族経営農家とはいえ、常に従業員を最低でも10人ほどの力を必要とする、ここらへんの農家の中では中規模大くらいの経営規模を持つ。

とにかくいつも家族一丸で、ジョークを飛ばしつつ、激しい喧嘩をしながらも、力強く前進する。そんな彼らが大好きで、そして何よりも、私の抱く疑問や興味にかなりピンポイントで適切な答えを出してくれる、という頼もしい存在でもある。


冬季を中心に、日本への野菜の輸出も手掛けさせてもらっている。


家族はご夫婦と2人の息子さんを中心に動いているのだが、最近まで96歳のおじいちゃんがいた。私が知り合った頃は、まだかなり元気で半現役くらい。もう決定権こそはなかったものの、真冬でも唯一、素手で冷たい水場での仕事をしていた人物。牛や鶏の世話などはおじいちゃんが行っていたので、よく一緒に卵を拾いに行ったものだ。


そういえば、あの頃は敷地内を自転車で走り回っていたし、日曜には自転車で近所のバールを転々としていた…


訛りがすごくて、半分くらい何を言っているのかわからないのに、お構いなく喋り続ける。食卓では人一倍よく食べる元気なじいちゃんだった。


ここ一年ほどかなり弱ってしまい、自力では身動きができなくなってしまっていたが、今年に入り、2月の末に息を引き取った。


予測はしていたとはいえ、その訃報を受けて驚いたが、お葬式は私はどうしても行けない日程だった。ご葬儀の前にご家族に挨拶に行きたくて、時間を見つけて会いに行ったのが2月初旬。


病院に運ばれて介護をしていた看護婦さんが、彼の大きくて強い頑丈すぎるその手を触り「どれだけ働き通しの人生を送ったんでしょう…」と言ったんだそうだ。意識のない96歳の力とは思えない手の力。

野球のグローブみたいで、握力の強いすごい手の持ち主だった。


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今でももし健在であったら、こんな世間でも、変わらず笑いながら、何事もなかったかのように元気に仕事を続けていたんだろう…と思う。


今ごろは先だった奥さんと仲良く暮らしているんだろうか。







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スプリッツでアペリティーヴォ :: 2020/05/10(Sun)

夕暮れ時のアペリティーヴォが恋しい…というか、いろいな心配をせずに人と会ったり移動したい…というのが本心かもしれない。

業種によっては営業再会、コムーネ内であれば外出の証明を提示する書類を持たずとも出歩け、州内であれば第6血族までとの再会(家に行ってご飯を食べたり)は許されるようになった今週。
土曜日の夕方、久しぶりにチェントロに出かけてみた。

普段の天気のよい土曜日の夕方は、街にはそぞろ歩きの人たちが通常から多い。決して外出解除後の初の土曜日だから、というわけではないと思う。
最近、一度に多くの人が集まるところを見ていなかったから、特に人が多いと感じているのだと思う。

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いつもと違うのは、皆がマスクをつけているところ。
こんな光景をここで目にするとは想像のつかなかったことだ。100%の人がマスクをつけて歩いているんだから(6歳以下と身体障害者等は着用義務なし)。
そういう私自身も今までマスク装着の習慣は全くなかったのだが。

とはいえ、今までこの数ヶ月続いていた、どことなく緊張感のある空気、ピーンと張り詰めたような薄いガラスの膜が張ったような空気が、軽く砕かれたような感覚がある。

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商店も営業許可のある店は開店しているけれど、半分以上はまだシャッターを閉じたまま。
今現在営業して良いのは、スーパー、食料品店、薬屋(ドラックストア的なものも含)、本屋、文具店、子供服、タバッキ、エディーコラ(新聞屋)、金物店、電気機器関連店、車両関連店、花屋、ジェラート店。バールやレストランはテイクアウェイのみOK。

大好きな市場や商店の立ち並ぶソット・イル・サローネ(ラジョーネ宮下)は、広場自体が自由に侵入ができなくなっていて、人の歩く方向も指定されている。

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久しぶりに美味しいフォルマッジョを買おう!と思っていたけど、またにしよう…と通り過ぎてきた。

Webマガジン「イタリア好き」に、ヴェネト発のスプリッツに関してを、日常の戻る日を願って投稿したので、読んでみてください。

ここから↓↓↓
ヴェネト発「スプリッツ」でアペロティーヴォ!




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ぶどうの畑とぶどうの樹、そしてぶどうの実 :: 2020/05/03(Sun)

5月になった。

この時期のぶどうの畑は土からの、そして日光の光から彼らが生き延びていくために必要な栄養を摂取しながらぐんぐんと成長する過程にある。


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ちょうど今、2冊のワインに関する本を読んでいる。そのどちらもが土壌とぶどうの樹、そしてその果実、さらにはその先にできあがるワインに非常に関連があり、その相互作用に関して触れられているものだ。

ここ数日、畑を歩きながらも、そんなことを考えて頭のなかがぐるぐるしている。


ぶどうの樹は、土からの養分を水を介して摂取していくのだが、この水も与え過ぎてもいけなければ、少なくてもいけない。土壌の質によって水はけや保水(この両者は同じような意味だと思うけれど、私には少々異なって感じる)の具合が変わる。

例えば、根から吸い上げる水分に苦労をするかしないか、によっても樹の育ち方は異なる。ぶどうの樹のもともと持つDNAから、蔓を伸ばして葉をわさわさとつけて元気よく樹自体を成長させていくのか、それとも水の枯渇を感じて種の存続の危機(大げさな言い方だが)を感知して、ぶどう自体がその危機回避を優先するがために、果実をつけることにその持っている力を注いでいくのか…

さらには土壌の性質と、もともとのその土地の降雨量とのバランスもある。それがそもそもぶどう栽培に適するのかどうか…。


こんな言い方はものすごく極端なので、こんなに単純なことではないのだが、この例は灌漑を畑に施すのかどうか、というキーポイントにもなること。


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そして土壌の含む養分によってどんな育ち方をするのか、また、さらに重要なのは、その土壌に適する品種がうまく適合しているのかどうか。どの土壌にどんな品種を植えるべきか、という議論はほとんど信仰教義の域だ、という論もある。

ちなみに、イタリアには数え切れないほどの土着品種が存在する。世界のぶどう栽培(ワイン生産)のなかでは群をぬいてその品種が多い。ソムリエ試験の受講者泣かせ…でもある。


ぶどうと土壌、気候、風土、さらには栽培に関わる人の手(樹の形、土の手入れ、肥料や害虫被害に対する仕事等々)、いわゆるマン・パワー…様々な、ものすごく様々な要素が混ざり合って、実を結ぶためにその一年をかける。


独り言みたいでとりとめも結論もないが、考え・話し始めたらきりがない。


で、今日のぶどう畑を改めてみてみる。


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樹は青々と元気よく伸び、実となる部分はもう房が形成され始め、花をつける準備段階に入っている。


ちなみにこちらはピノ・グリジョ。比較的早めに成熟をしていく品種なので、実のつきも早い。


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そして、ここは海抜350mくらいにあたるプレポットという場所にある一部の畑。今日はものすごく天気がよくて見晴らし最高。空からはなんだか後光がさしているかのような神秘的なタイミングにちょうどあたった。


なんだか元気が出る。


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向こうに見える海岸線はトリエステの街。


…昨年、収穫がゼロだったオリーブは、今のところたくさんの花をつけそうな気配。この木は、地元品種のビアンケーラ。私の大好きな品種。個性がキリッとして、芯のしっかりしたブレのない人格者みたいな品種。

ヒョウなど降らず、雨続きなどのない天候がこの先続くか、がカギ。


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pioggia …あめ… :: 2020/04/29(Wed)

久しぶりに雨が降った。どのくらいぶりなんだろう…


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なんだかんだともう50日目くらいなのか。制限生活が始まってから初めての雨じゃないか、と思う。(他地域は別)


乾燥しっぱなしだった空気はほんのりと湿って、花粉症にはいいかも。そういえば、ここ数年、とうとう私も花粉症が始まったか…と思っていたけれど、今年は季節にどこにも出かけていないので、その症状もないようだ。

感染も乾燥した空気のほうが飛沫が飛び散りやすいというから、この湿り気は少しはいい影響もあるのだろうか…


晴天続きで知り合いのワイナリーなどからは、もう蕾をつけはじめているぶどうの実が10㎝くらいに成長している画像やら動画が送られてくる。なんだか季節を自分だけ飛び越えてしまった感。もちろん自分だけではないのだけれど。


この数日は天気予報では雨が続いているが、パドヴァではヒョウにもなっているので、ぶどうや他果実のツボミに影響が出ませんように…


現在旬を迎えているアスパラ農家。


今年は飲食店の消費がぐんと減ってしまったので、売り先を失ったアスパラの量が過剰化傾向にあり、価格が低落しているとか。


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問題は価格だけではない。


アスパラに関しては、名産地を各地にもつヴェネト州内でも、土地によってその収穫期が異なり、パドヴァの南側の広い平原地から大収穫がスタートする。この地域は、アバノテルメを有する古代ローマからの温泉源もあることから(源泉からは現在でも80℃のお湯が湧き続けている、と以前に取材したことがある)、土が温かいこともあり、農産物に関してはヴェネトの北側とも規模も時期も異なったものとなる。


2月終盤〜3月初旬に、この辺りがイタリア国内で一番最初の感染者の出た場所であったこともあり、同地の大型農作形式をとるアスパラ収穫に非常に弊害が出た。というのも、今やイタリアの農作業現場の人出は外国人労働者にたよっているため、それらの人々が季節労働に来なくなったため。産物は収穫準備ができているのに、マンパワーが不足する、という事態だ。


これは、イタリア随一のイチゴの産地であるバジリカータでも、シーズンの短いイチゴの収穫に同様の問題を抱えている、というニュースも目にした。


小さな果実でシーズンが短く、そしてデリケートな扱いを必要とするブルーベリーやラズベリー農家などでも。。。ヴェネト北部及びアルトアディジェなどがその産地となる。


自然は季節を待ってくれないから、世間の状況とは無関係。


…とはいえ、知り合い同士ではこんな話をしつつも、元気な声を確かめあい「しばらくは辛抱!」と会話を終える。その明るい声になんとも助けられる。


少しずつ移動制限や生産活動及び開業の制限が解けつつある。制限が緩和して人々が動きだし、生産や購買が活発化して、もとに近い状態に戻るまで、それが辛抱と思う。

辛抱の期間は今回はちょっと長いだろうと思われているし、実際にも手にとるようにして感じる。耐える力がどこまであるのか…これからが踏ん張りどころかな、と思う。

もちろん自分も含めて。


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テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

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